今回は、C型ジッタープロットの作り方について紹介していきます。
前回、ドーナツ型ジッタープロットの作り方について紹介しましたが、引き続き、ジッタープロットに関連するチャートについて取り扱っていきたいと思います。
C型ジッタープロットとは、ジッタープロットを改良したチャートであり、具体的には、「C」の形状をした領域(正確には、「C」の形状を反転した領域)内で、各データをランダムにプロットして、ドットのサイズでデータの大小を表現したチャートになります。
これまで色々な形状のジッタープロットを紹介してきましたが、それらと同様に、各データの大小の濃度(値の大きいデータが多い、値の小さいデータばかり等)を容易に確認することができます。
実際使うかどうかは、扱うテーマによるかと思いますが、あると、きっと目を引くでしょう。
ここでは、以下の3つのC型ジッタープロットを具体的に作成して説明をしていきます。
- 商品IDごとの売上を示すC型ジッタープロット
- 商品IDごとの売上を示すC型ジッタープロット with カテゴリーによる色分け
- 商品IDごとの売上を示すC型ジッタープロット with ラベル表示
なお、すべてのVizは、サンプルデータであるスーパーストアの「Orders」シートをもとに作成することとします。
商品IDごとの売上を示すC型ジッタープロット
まずは、商品IDごとの売上を示すC型ジッタープロットを紹介します。
「C」の形状をした領域内で、商品IDごとにドットをランダムにプロットし、ドットのサイズで売上の大きさを表現したチャートになります。
パラメーターにより、「C」の形状を調整可能です。
パラメーターの作成
以下のパラメーターを作成します。
名前:Hole Size Parameter
【プロパティ】
データ型:浮動小数点数
現在の値:0.7
許容値:範囲
【値の範囲】
最小値:0
最大値:1
ステップサイズ:0.1
名前:Circumference Parameter
【プロパティ】
データ型:整数
現在の値:270
許容値:範囲
【値の範囲】
最小値:1
最大値:360
ステップサイズ:1
計算フィールドの作成
以下の計算フィールドを作成します。
- 名前:Circumference Index
(INDEX()-1)%[Circumference Parameter]
「Circumference Index」は、0から、パラメーター「Circumference Parameter」にて指定した値から1を引いた値までの数列を繰り返す数字の列を示します。
例えば、パラメーター「Circumference Parameter」が「270」の場合には、0、1、2、・・・、269、0、1、2、・・・,269、0、1、・・となります。
- 名前:Distance
RANDOM()+[Hole Size Parameter]
「Distance」は、パラメーター「Hole Size Parameter」で指定した値 から(パラメーター「Hole Size Parameter」で指定した値+1) の乱数を示します。
- 名前:X
SIN(RADIANS([Circumference Index]))*[Distance]
「X」は、Viz上の横軸をX軸、縦軸をY軸とみたときに、プロットするデータのX座標を示します。
- 名前:Y
COS(RADIANS([Circumference Index]))*[Distance]
「Y」は、Viz上の横軸をX軸、縦軸をY軸とみたときに、プロットするデータのY座標を示します。
「X」「Y」については、まず、前回のドーナツ型ジッタープロットの説明が参考になるかと思います。
ドーナツ型ジッタープロットとの違いは、「RADIANS()」内であり、具体的には、[Index]が[Circumference Index]になっています。
この箇所は、sin、cosの角度(下の図のα)を調整するところになります。
例えば、パラメーター「Circumference Parameter」が「270」の場合には、0、1、2、・・・、269、0、1、2、・・・,269、0、1、・・となり、αは0度から269度までの範囲に限定されます。こうすることで、「C」の形状の領域を形成することができます。
ワークシートの編集
次の流れでワークシートを編集していきます。
- マークパネルのマークタイプを「円」に変更します。
- 「Product ID」をマークパネルの詳細に入れます。
- 「X」を列シェルフに入れます。
- 列シェルフにある「X」を右クリックして、「次を使用して計算」の「Product ID」を選択します。
- 「Y」を行シェルフに入れます。
- 行シェルフにある「Y」を右クリックして、「次を使用して計算」の「Product ID」を選択します。
- 「Sales」をマークパネルのサイズに入れます。
- 「Product Name」をマークパネルのツールヒントに入れます。
- マークパネルの色を左クリックして、不透明度を75%に指定します。
- マークパネルのツールヒントを左クリックして、「ツールヒントの編集」を開き、以下の通りに入力し、「OK」ボタンを押します。
Product ID: <Product ID>
Product Name: <属性(Product Name)>
Sales: <合計(Sales)>
- データペインにて、パラメーターの「Hole Size Parameter」を右クリックして、「パラメーターの表示」を選択します。
- データペインにて、パラメーターの「Circumference Parameter」を右クリックして、「パラメーターの表示」を選択します。
- 列シェルフにある「X」を右クリックして、「ヘッダーの表示」のチェックを外します。
- 行シェルフにある「Y」を右クリックして、「ヘッダーの表示」のチェックを外します。
- Viz上で右クリックして、「書式設定」を選択します。
- 線の書式設定にて、シートのゼロライン、および、グリッド線を「なし」に設定し、線の書式設定を閉じます。
- マークパネルのサイズを左クリックして、サイズを調整します。
- パラメーター「Hole Size Parameter」にて、パラメーターを調整します。
- パラメーター「Circumference Parameter」にて、パラメーターを調整します。
- 「合計(Sales)」凡例カードの「▼」を左クリックして、「タイトルの編集」を選択します。
- 凡例タイトルの編集画面が表示されるので、「Sales」と入力し、「OK」ボタンを押します。
- シートの名前を「商品IDごとの売上を示すC型ジッタープロット」に変更します。
商品IDごとの売上を示すC型ジッタープロットの完成
これで、商品IDごとの売上を示すC型ジッタープロットの完成です。
売上の高い商品、売上の低い商品が視覚的にわかります。
Tableau Publicのリンクを貼っています。
また、パラメーター「Circumference Parameter」にて「360」を指定すると、ドーナツ型ジッタープロットとなります。
さらに、パラメーター「Hole Size Parameter」にて「0」を指定すると、円形ジッタープロットとなります。
商品IDごとの売上を示すC型ジッタープロット
with カテゴリーによる色分け
次は、商品IDごとの売上を示すC型ジッタープロット with カテゴリーによる色分け を紹介します。
先ほど作成した「商品IDごとの売上を示すC型ジッタープロット」を改良したチャートであり、ドットの色をカテゴリーごとに分けたチャートになります。
ワークシートの編集
次の流れでワークシートを編集していきます。
- シート「商品IDごとの売上を示すC型ジッタープロット」を右クリックして、「複製」を選択します。
- シート「商品IDごとの売上を示すC型ジッタープロット (2)」が作成されるので、これから、このシートを編集していきます。
- 「Category」をマークパネルの色に入れます。
- 「Category」をマークパネルのツールヒントに入れます。
- マークパネルのツールヒントを左クリックして、「ツールヒントの編集」を開き、以下の通りに入力し、「OK」ボタンを押します。
Category: <Category>
Product ID: <Product ID>
Product Name: <属性(Product Name)>
Sales: <合計(Sales)>
- シートの名前を「商品IDごとの売上を示すC型ジッタープロット with カテゴリーによる色分け」に変更します。
商品IDごとの売上を示すC型ジッタープロット with カテゴリーによる色分け の完成
これで、商品IDごとの売上を示すC型ジッタープロット with カテゴリーによる色分け の完成です。
売上の高い商品、売上の低い商品、どの商品がどのカテゴリーに属してるのかが視覚的にわかります。
Tableau Publicのリンクを貼っています。
また、パラメーター「Circumference Parameter」にて「360」を指定すると、ドーナツ型ジッタープロットとなります。
さらに、パラメーター「Hole Size Parameter」にて「0」を指定すると、円形ジッタープロットとなります。
商品IDごとの売上を示すC型ジッタープロット with ラベル表示
最後は、商品IDごとの売上を示すC型ジッタープロット with ラベル表示 を紹介します。
ここまで見てきた人の中には、円周の長さにも意味を持たせたいと考える人もいるかと思います。
ここでは、ドーナツの形状の場合を「100%」として、円周の割合を%で表し、真ん中に表示させた、商品IDごとの売上を示すC型ジッタープロットを作成していきます。
パラメーターの作成
以下のパラメーターを作成します。
名前:Hole Size Parameter
【プロパティ】
データ型:浮動小数点数
現在の値:0.7
許容値:範囲
【値の範囲】
最小値:0
最大値:1
ステップサイズ:0.1
名前:Percent Parameter
【プロパティ】
データ型:整数
現在の値:85
許容値:範囲
【値の範囲】
最小値:1
最大値:100
ステップサイズ:1
計算フィールドの作成
以下の計算フィールドを作成します。
- 名前:Circumference Percent Index
(INDEX()-1)%([Percent Parameter]*3.6)
「Circumference Percent Index」は、0から、パラメーター「Percent Parameter」にて指定した値に3.6を掛けて1を引いた値までの数列を繰り返す数字の列を示します。
パラメーター「Percent Parameter」は1から100までの範囲しかとらないので、3.6を掛けて、360までの範囲に置き換えています。
- 名前:Distance
RANDOM()+[Hole Size Parameter]
「Distance」は、パラメーター「Hole Size Parameter」で指定した値 から(パラメーター「Hole Size Parameter」で指定した値+1) の乱数を示します。
- 名前:X based on Percent Index
SIN(RADIANS([Circumference Percent Index]))*[Distance]
「X based on Percent Index」は、Viz上の横軸をX軸、縦軸をY軸とみたときに、プロットするデータのX座標を示します。
- 名前:Y based on Percent Index
COS(RADIANS([Circumference Percent Index]))*[Distance]
「Y based on Percent Index」は、Viz上の横軸をX軸、縦軸をY軸とみたときに、プロットするデータのY座標を示します。
「商品IDごとの売上を示すC型ジッタープロット」の計算フィールドにて、「X」「Y」について説明していますが、「X」「Y」と比較すると、RADIANS関数内の引数が異なっています。
引数は、「X based on Percent Index」「Y based on Percent Index」の場合、「Circumference Percent Index」であり、「X」「Y」の場合、「Circumference Index」となっています。
「Circumference Percent Index」のもとなるパラメーター「Percent Parameter」の範囲は1から100までであり、内部で、360(度)までに変換しています。
ワークシートの編集
次の流れでワークシートを編集していきます。
- マークパネルのマークタイプを「円」に変更します。
- 「Product ID」をマークパネルの詳細に入れます。
- 「X based on Percent Index」を列シェルフに入れます。
- 列シェルフにある「X based on Percent Index」を右クリックして、「次を使用して計算」の「Product ID」を選択します。
- 「Y based on Percent Index」を行シェルフに入れます。
- 行シェルフにある「Y based on Percent Index」を右クリックして、「次を使用して計算」の「Product ID」を選択します。
- 「Sales」をマークパネルのサイズに入れます。
- 「Product Name」をマークパネルのツールヒントに入れます。
- マークパネルの色を左クリックして、不透明度を75%に指定します。
- マークパネルのツールヒントを左クリックして、「ツールヒントの編集」を開き、以下の通りに入力し、「OK」ボタンを押します。
Product ID: <Product ID>
Product Name: <属性(Product Name)>
Sales: <合計(Sales)>
- データペインにて、パラメーターの「Hole Size Parameter」を右クリックして、「パラメーターの表示」を選択します。
- データペインにて、パラメーターの「Percent Parameter」を右クリックして、「パラメーターの表示」を選択します。
- 列シェルフにある「X based on Percent Index」を右クリックして、「ヘッダーの表示」のチェックを外します。
- 行シェルフにある「Y based on Percent Index」を右クリックして、「ヘッダーの表示」のチェックを外します。
- Viz上で右クリックして、「書式設定」を選択します。
- 線の書式設定にて、シートのゼロライン、および、グリッド線を「なし」に設定し、線の書式設定を閉じます。
- マークパネルのサイズを左クリックして、サイズを調整します。
- パラメーター「Hole Size Parameter」にて、パラメーターを調整します。
- パラメーター「Percent Parameter」にて、パラメーターを調整します。
- 「合計(Sales)」凡例カードの「▼」を左クリックして、「タイトルの編集」を選択します。
- 凡例タイトルの編集画面が表示されるので、「Sales」と入力し、「OK」ボタンを押します。
- Viz上で右クリックして、「注釈を付ける」の「ポイント」を選択します。
- 注釈の編集画面が表示されるので、以下の通り、入力し、「OK」ボタンを押します。
- Viz上に「85%」と表示されるので、位置を調整します。
- シートの名前を「商品IDごとの売上を示すC型ジッタープロット with ラベル表示」に変更します。
商品IDごとの売上を示すC型ジッタープロット with ラベル表示 の完成
これで、商品IDごとの売上を示すC型ジッタープロット with ラベル表示 の完成です。
売上の高い商品、売上の低い商品が視覚的にわかります。
また、円周の割合が、真ん中に表示されていることも、わかります。
Tableau Publicのリンクを貼っています。
また、パラメーター「Percent Parameter」にて「100」を指定すると、ドーナツ型ジッタープロットとなり、一周するので、「100%」と真ん中に表示されることがわかります。