前回は、KPIチャートの応用的な部分について紹介しましたが、今回は、そこで作成した前年比付き前月分KPIチャートにスパークラインを追加する方法を紹介したいと思います。
しかし、そもそも、スパークラインとは何だろうと疑問に思う方もいるかもしれません。
スパークラインとは、小さな折れ線グラフを複数並べたチャートのことであり、各折れ線グラフは、縦軸や横軸、目盛りなどの表記がないシンプルなグラフとなっています。
KPIチャートにスパークラインを添えることで、情報を補足することができます。主に、各KPI値の直近の月別推移などを表示するのに使われ、傾向(上り調子、下り調子、横ばい等)をより掴みやすくなるでしょう。
ここでは、各KPI値に対して前年前月から前月までの月別推移をスパークラインとして、KPIチャートに添える方法を説明していきます。
ベースとなるKPIチャートの作成
ベースとなるKPIチャートは、前回作成した前年比付き前月分KPIチャートであり、作成方法については以下を参照してください。
計算フィールドの作成
以下の計算フィールドを作成します。
- 名前:Until End of Month Flag
[Order Date] <= DATETRUNC("month", {MAX([Order Date])}+1) -1
「Until End of Month Flag」は、注文日(Order Date)が直近の月末以前かどうかの判定フラグを示します。最新の注文日に1を加え、最新の注文日の次の日を取得し、その日付を月レベルで丸めることにより、月の最初の日付を取得します。そこから、1を引くことで、直近の月末を取得し、その日付をもとに注文日を判定します。
例えば、最新の注文日が10月10日である場合、1を加えた10月11日を月レベルで丸めることで、10月1日を取得します。そして、そこから1を引いて、直近の月末である9月30日を取得します。
また、最初の注文日が9月30日である場合、1を加えた10月1日を月レベルで丸めることで、10月1日を取得します。そして、そこから1を引いて、直近の月末である9月30日を取得します。
元データは2020年10月10日までのデータであり、スパークラインを作成する上では10月1日から10日のデータは不要なデータであり、それを判定するために、このフラグを利用します。
- 名前:Last 13 Months Flag
LAST() <= 12
「Last 13 Months Flag」は、直近の13ヵ月かどうかの判定フラグを示します。スパークラインの対象期間は前年前月から前月までであり、直近の13ヶ月となります。LAST()は、直近の1ヵ月目では0を、直近の2ヵ月目では1を、直近の3ヵ月目では2を返し、直近の13ヶ月目では12を返し、その値をもとに判定します。
- 名前:Profit Ratio
SUM([Profit])/SUM([Sales])
「Profit Ratio」は、利益率を示します。利益を売上で割っており、利益率のスパークラインを作成するのに使用します。
ワークシート「スパークライン 売上」の作成
ワークシートの編集
次の流れでワークシートを編集していきます。
- 新しいワークシートを作成し、以降、このワークシートを編集していきます。
- 「Order Date」を列シェルフに入れます。
- 列シェルフにある「年(Order Date)」を右クリックして、「月 2015年5月」を選択します。
- 「Sales」を行シェルフに入れます。
- 「Until End of Month Flag」をフィルターシェルフに入れます。
- フィルター画面が表示されるので、「真」にチェックを入れて、「OK」ボタンを押します。
- 「Last 13 Months Flag」をフィルターシェルフに入れます。
- フィルター画面が表示されるので、「真」にチェックを入れて、「OK」ボタンを押します。
ワークシートの微調整
次の流れでワークシートの微調整をしていきます。
- Viz上で、Salesの縦軸を右クリックして、「軸の編集」を選択します。
- 軸の編集画面が表示されるので、「ゼロを含める」のチェックを外し、この画面を閉じます。
- Viz上で右クリックして、「書式設定」を選択します。
- 線の書式設定にて、シートのグリッド線、および、ゼロラインを「なし」に設定し、線の書式設定を閉じます。
- 列シェルフにある「月(Order Date)」を右クリックして、「ヘッダーの表示」のチェックを外します。
- 行シェルフにある「合計(Sales)」を右クリックして、「ヘッダーの表示」のチェックを外します。
- マークパネルのサイズを左クリックして、サイズを調整します。
- マークパネルにて、ツールヒントの「ツールヒントの編集」を開き、「ツールヒントの表示」のチェックを外します。
- シートの名前を「スパークライン 売上」に変更します。
ワークシート「スパークライン 利益」の作成
ワークシートの編集
次の流れでワークシートを編集していきます。
- 新しいワークシートを作成し、以降、このワークシートを編集していきます。
- 「Order Date」を列シェルフに入れます。
- 列シェルフにある「年(Order Date)」を右クリックして、「月 2015年5月」を選択します。
- 「Profit」を行シェルフに入れます。
- 「Until End of Month Flag」をフィルターシェルフに入れます。
- フィルター画面が表示されるので、「真」にチェックを入れて、「OK」ボタンを押します。
- 「Last 13 Months Flag」をフィルターシェルフに入れます。
- フィルター画面が表示されるので、「真」にチェックを入れて、「OK」ボタンを押します。
ワークシートの微調整
次の流れでワークシートの微調整をしていきます。
- Viz上で、Profitの縦軸を右クリックして、「軸の編集」を選択します。
- 軸の編集画面が表示されるので、「ゼロを含める」のチェックを外し、この画面を閉じます。
- Viz上で右クリックして、「書式設定」を選択します。
- 線の書式設定にて、シートのグリッド線、および、ゼロラインを「なし」に設定し、線の書式設定を閉じます。
- 列シェルフにある「月(Order Date)」を右クリックして、「ヘッダーの表示」のチェックを外します。
- 行シェルフにある「合計(Profit)」を右クリックして、「ヘッダーの表示」のチェックを外します。
- マークパネルのサイズを左クリックして、サイズを調整します。
- マークパネルにて、ツールヒントの「ツールヒントの編集」を開き、「ツールヒントの表示」のチェックを外します。
- シートの名前を「スパークライン 利益」に変更します。
ワークシート「スパークライン 利益率」の作成
ワークシートの編集
次の流れでワークシートを編集していきます。
- 新しいワークシートを作成し、以降、このワークシートを編集していきます。
- 「Order Date」を列シェルフに入れます。
- 列シェルフにある「年(Order Date)」を右クリックして、「月 2015年5月」を選択します。
- 「Profit Ratio」を行シェルフに入れます。
- 「Until End of Month Flag」をフィルターシェルフに入れます。
- フィルター画面が表示されるので、「真」にチェックを入れて、「OK」ボタンを押します。
- 「Last 13 Months Flag」をフィルターシェルフに入れます。
- フィルター画面が表示されるので、「真」にチェックを入れて、「OK」ボタンを押します。
ワークシートの微調整
次の流れでワークシートの微調整をしていきます。
- Viz上で、Profit Ratioの縦軸を右クリックして、「軸の編集」を選択します。
- 軸の編集画面が表示されるので、「ゼロを含める」のチェックを外し、この画面を閉じます。
- Viz上で右クリックして、「書式設定」を選択します。
- 線の書式設定にて、シートのグリッド線、および、ゼロラインを「なし」に設定し、線の書式設定を閉じます。
- 列シェルフにある「月(Order Date)」を右クリックして、「ヘッダーの表示」のチェックを外します。
- 行シェルフにある「集計(Profit Ratio)」を右クリックして、「ヘッダーの表示」のチェックを外します。
- マークパネルのサイズを左クリックして、サイズを調整します。
- マークパネルにて、ツールヒントの「ツールヒントの編集」を開き、「ツールヒントの表示」のチェックを外します。
- シートの名前を「スパークライン 利益率」に変更します。
ワークシート「スパークライン 数量」の作成
ワークシートの編集
次の流れでワークシートを編集していきます。
- 新しいワークシートを作成し、以降、このワークシートを編集していきます。
- 「Order Date」を列シェルフに入れます。
- 列シェルフにある「年(Order Date)」を右クリックして、「月 2015年5月」を選択します。
- 「Quantity」を行シェルフに入れます。
- 「Until End of Month Flag」をフィルターシェルフに入れます。
- フィルター画面が表示されるので、「真」にチェックを入れて、「OK」ボタンを押します。
- 「Last 13 Months Flag」をフィルターシェルフに入れます。
- フィルター画面が表示されるので、「真」にチェックを入れて、「OK」ボタンを押します。
ワークシートの微調整
次の流れでワークシートの微調整をしていきます。
- Viz上で、Quantityの縦軸を右クリックして、「軸の編集」を選択します。
- 軸の編集画面が表示されるので、「ゼロを含める」のチェックを外し、この画面を閉じます。
- Viz上で右クリックして、「書式設定」を選択します。
- 線の書式設定にて、シートのグリッド線、および、ゼロラインを「なし」に設定し、線の書式設定を閉じます。
- 列シェルフにある「月(Order Date)」を右クリックして、「ヘッダーの表示」のチェックを外します。
- 行シェルフにある「合計(Quantity)」を右クリックして、「ヘッダーの表示」のチェックを外します。
- マークパネルのサイズを左クリックして、サイズを調整します。
- マークパネルにて、ツールヒントの「ツールヒントの編集」を開き、「ツールヒントの表示」のチェックを外します。
- シートの名前を「スパークライン 数量」に変更します。
ダッシュボードの作成
次の流れでダッシュボードを作成していきます。
- 新しいダッシュボードを作成し、以降、このダッシュボードを編集していきます。
- サイズにて、「固定サイズ」の「ノートPCブラウザー(800×600)」を選択します。
- オブジェクトの水平方向を3つ、縦に並ぶように追加します。
- 1番上の水平方向のオブジェクトに、シート「スーパーストア 前年比付き前月分KPIチャート」を入れます。
- ダッシュボードに入れたシート「スーパーストア 前年比付き前月分KPIチャート」のタイトルを右クリックして、「タイトルの編集」を選択します。
- タイトルの編集画面が表示されるので、「《<月(Last Day of Last Month)>》」と入力して、「OK」ボタンを押します。
- 真ん中の水平方向のオブジェクトに、以下のシートを順に入れます。
- スパークライン 売上
- スパークライン 利益
- スパークライン 利益率
- スパークライン 数量
- ダッシュボードに入れた、以下の各々のシートのタイトルを右クリックして、「タイトルの非表示」にチェックを入れます。
- スパークライン 売上
- スパークライン 利益
- スパークライン 利益率
- スパークライン 数量
- ダッシュボードの名称を「スーパーストア スパークライン付きKPIチャート」に変更します。
- 「ダッシュボードのタイトルを表示」にチェックを入れます。
- 1番上、および、真ん中の水平方向のオブジェクトの高さを調整します。
- 以下のシートを非表示にします。
- スーパーストア 前年比付き前月分KPIチャート
- スパークライン 売上
- スパークライン 利益
- スパークライン 利益率
- スパークライン 数量
スパークライン付きKPIチャートの完成
これで、スーパーストアの前月(2022年9月)のスパークライン付きKPIチャートが完成です。KPIチャートに、各KPI値に対する前年前月から前月までの月別推移のスパークラインが添えられていることがわかります。
Tableau Publicのリンクを貼っています。