データ可視化の取り組みへの障害とメリット

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今回は、データ可視化の取り組みへの障害とメリットについて紹介していきます。

私自身、これまで社内へのTableauの導入に携わってきましたが、その過程でいくつかの障害(導入を阻むもの)について気付くことができました。

残念なことに、今でもその障害は無くなっていない状況です。解決できたのであれば、Tableauのライセンスを従業員全員分購入することができたでしょうが、正直なところ、私の力不足ということもあるかと思います。

ただ、私が感じてきたこと等を共有することで、これからTableauを導入していこうという人たちの参考になるとも思いましたので、障害についてまとめてみました。また、どうすれば、その障害を乗り越えてることができるのかについても考えてみるとともに、その障害を乗り越えた先にどのようなメリットがあるのかについても改めて考えてみました。

では、経験したことを交えながら、説明していきましょう。

データ可視化の取り組みへの障害

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データ可視化への必要性を感じていない

1つ目の障害は、「データ可視化への必要性を感じていない」です。

表向きは、新しいことや改善は必要だと叫びながら、心の底では、そんなことは必要ないと思っているです。なぜなら、今までデータを可視化しなくても、会社は何とかやってこれてきました。そのため、今後も、従来のやり方をわざわざ変えなくても、そのままやっていけると、危機感を持っていないのです。

この場合には、危機感を持ってもらうことが重要だと思います。他社では、自社と比較すると、データ可視化への取り組みがかなり進んでいることを伝え、自社で今やっていることは既に時代遅れだということをわかってもらわないといけません。

わかる人だけがやればいい

2つ目の障害は、「わかる人だけがやればいい」です。

Tableauを少しでも触ってみようとも思わずに、こういうのはITに詳しい人であったり、ITが得意な人だけがやればいいと思っているのです。データの可視化を従業員全員で共有することでメリットが生まれるのですが、Tableauはシステム部門のツールだと思っているのです。

こういった場合には、その考え自体を正していかなければいけません。具体的には、Tableauは、システム部門だけが扱うツールではなく、誰もが使っていくものだと認識を改めてもらうことが必要でです。そのため、同規模の他社の事例を紹介して、誰もが使うことができるようになることが今の時代のあるべき姿であることを訴えかけていくことが大切です。

あとは、単純に新しいことに取り組むのが面倒だから、わかる人がやればいいと逃げてる人もいます。個人的には、そんな人材、会社に必要なのかと思う部分もあるのですが、長年、会社で働いてきて貢献してきたので、経営者としては、そういった人も守らないといけないといった思考が働き、従業員全員への導入とはならないのです。

過去にとらわれず、未来をみてほしいと思うのですが...

経営者の考え方を変えるのは、非常に難しいですよね。プライドもあったりすることもありますし・・。こういった場合には、外堀を埋めていく、すなわち、逃げている人の周りから変えていくのが有効なように思います。周りのメンバーにTableauを使ってもらい、使わないと、会社の中でついていけなくなるとプレッシャーをかけていき、逃げてる人もTableauを習得していかなければならない状況に持っていくのがいいように思います。

試しにやってみたが、できなかった

3つ目の障害は、「試しにやってみたが、できなかった」 です。

うちの会社のシステム部門のSEの実話になります。当初は興味をもっており、ライセンスを用意したのですが、いっこうに成果物が出てこず、最終的には「できない」「無理だ」と言ってきました。

もう定年間近で、VBA一本でずっとやってきた人なので、新しいことを習得するということに不慣れで、本当に無理だったんだと感じています。

ただ、反省点としては、 無料のトレーニングビデオの紹介などしていたものの、本社と支社で場所が離れており、質問を気軽にできるような雰囲気や環境がなかったように思います。それに、年齢も離れており、年下への質問することに対してプライドもあったのでしょう。

そのため、受け身ではなく、もう少し、こちらから積極的に電話などでも気軽に声をかけてあげればよかったのではないかと思っています。

データ可視化の取り組みへのメリット

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より正確にデータの内容をつかむことが可能

1つ目は、「より正確にデータの内容をつかむことが可能」です。

Excelで商品ごとの売上の表を作成しており、ある商品Aの売上が落ちているので、その商品に対する販促を見直す必要があるという資料を作っていた営業がいました。

しかし、増減率をみてみると、もっと下がっている商品Bがあり、そちらを見落としていたのです。そのため、商品Bへの販促の見直しを行われず、本来、打つべき対策を打つこととができなかったため、商品Aの見直しだけでは効果は限定的なものになってしまっていたのです。

Excelの数字の羅列からでは、どうしても、わかりにくいかと思いますし、データを可視化することで、より正確にデータの内容をつかむことができると思います。

共通のデータの見解を持つことが可能

2つ目は、「共通のデータの見解を持つことが可能」です。

会議のときに、参加メンバーの頭の中にある数字が違っているということがありました。その会議では、各チャネルの売上の比率をもとに、どのチャネルにもっと力を入れていくべきかどうかの方針を話し合っていました。

しかし、あるチャネルに対して、Aさんは全体の50%を超えており、Bさんはだいたい全体の50%くらいであり、Cさんは50%もいっていないという認識を頭の中でしていたそうです。それで、思い思いに、こうした方がいいと意見を出していたそうですが、なかなか話がまともらなかったそうです。

そして、会議の後半になって、やっと、それぞれの認識している数字が全然違うということに気が付いて、私に資料の作成依頼を急いでしてきたことがありました。それまでの議論の時間が無駄ですよね...

データを数字の羅列でしか持っていないと、だいたいこんなもんだろうと自分の感覚を優先させてしまう部分もありますし、 データを可視化して、そのデータを共有することで、共通の認識を持つことができると思います。そして、それによって無駄な議論がなくなり、 迅速な意識決定にもつながるようにも思います。

説得力を持たせることが可能

3つ目は、「説得力を持たせることが可能」です。

提案書を作っても、お客様の反応があまりなく、うまくいかないと困っている営業の相談を受けたことがあります。資料を見せてもらうと、単なるExcelで作った数字の羅列があり、それに重要と思われる部分をただ色付けしているといったものでした。

最初みたときは、正直、ひどい資料だと思いましたが、そうは言わずに、資料の作成を手伝うことにしました。Tableauを使ってデータを可視化するとともにパワーポイントにて提案書を作成してみました。

すると、お客様の反応が今までと違ったそうです。提案に対して、興味を持ってもらえて、この場合にはどうなのか等、一歩踏み込んだ質問をしてくれるようになったそうです。

数字の羅列だけでは理解に時間がかかり、その場(提案時)では、どうしても頭に入りにくい部分もありますし、データを可視化することで、 自分の頭で考える手間をすっとばすことができたように思います。 直感的にすぐに脳に入ってきやすく、理解が容易にでき、結果、自分の提案により説得力を持たせることができるのではないかと思います。

業務の効率化につながることが可能

4つ目は、「業務の効率化につながることが可能」です。

データの可視化を社内ですすめようとすると、データの一元管理の仕組み作りの必要性を感じてくるでしょう。部署が異なっても同じデータを使っている可能性もあり、それぞれの部署でデータを取得し加工しており、会社としては重複した作業が発生してしまっています。

例えば、前日までの売上データを使って、営業部門とシステム部門で、それぞれ日次の売上日報を提供していました。それぞれの部門で、毎日、基幹システムからデータをダウンロードして、マクロを使って売上日報を作成していたのです。この作業は、5分、10分とかの作業であったとしても、毎日のことであり、マクロのメンテナンスもしなければならないと考えると、1年でのトータルの工数は決して少なくはありません。

また、 データの一元管理をするだけではなく、これを発展させて、データをダウンロードして日次の売上日報を作成する処理をすべて自動化したとしましょう。そうすると、手動で毎日やっていた、データをダウンロードしてマクロ行う作業自体、必要なくなってしまうのです。 そう考えると、業務の圧倒的な効率化を実現できます。

新たな発見を得ることが可能

5つ目は、「新たな発見を得ることが可能」です。

データの一元管理の仕組み作りを行うことで、 これまで組織で縦割りになっていたデータをそれぞれつなげて、新たな視点でデータを見ることができるようになります。

例えば、サイトへの流入数などの情報は販促部門内で閉じたデータとなっていました。しかし、社内のデータを一元管理して、売上データと比較することで、これまで見えてこなかった因果関係を見出すことができました。

また、過去のデータをすべて蓄積していくことで、Tableauの予測機能を活用することができ、未来の予測ができるようになります。予測ができると、そこから、どのように対策を打てばいいのかなど、新たな議論を進めることができるようになります。

このように、データを一元管理することで、新たな発見を得るなど、新たな価値を生み出すことができるようになります。