今回は、円形ジッタープロットの作り方について紹介していきます。
前回、スクエア型ジッタープロットの作り方について紹介しましたが、引き続き、ジッタープロットに関連するチャートについて取り扱っていきたいと思います。
円形ジッタープロットとは、ジッタープロットを改良したチャートであり、具体的には、円の領域内で、各データをランダムにプロットして、ドットのサイズでデータの大小を表現したチャートになります。
スクエア型ジッタープロット同様、各データの大小の濃度(値の大きいデータが多い、値の小さいデータばかり等)を容易に確認することができます。
全体の形状が円の形になっているため、まわりのチャートとの兼ね合いにより、スクエア型にするか円形にするかを選択すると良いでしょう。
ここでは、以下の4つの円形ジッタープロットを具体的に作成して説明をしていきます。
- 商品IDごとの売上を示す円形ジッタープロット
- 商品IDごとの売上を示す円形ジッタープロット with カテゴリーによる色分け
- カテゴリー別 商品IDごとの売上を示す円形ジッタープロット
- カテゴリー・地域別 商品IDごとの売上を示す円形カラフルジッタープロット
なお、すべてのVizは、サンプルデータであるスーパーストアの「Orders」シートをもとに作成することとします。
商品IDごとの売上を示す円形ジッタープロット
まずは、商品IDごとの売上を示す円形ジッタープロットを紹介します。
円の領域内で、商品IDごとにドットをランダムにプロットし、ドットのサイズで売上の大きさを表現したチャートになります。
計算フィールドの作成
以下の計算フィールドを作成します。
- 名前:Index
INDEX()-1
「Index」は、0からはじまり、0,1,2,3,・・と続いていく数字の列を示します。
- 名前:X
SIN(RADIANS([Index]))*RANDOM()
「X」は、Viz上の横軸をX軸、縦軸をY軸とみたときに、プロットするデータのX座標を示します。
- 名前:Y
COS(RADIANS([Index]))*RANDOM()
「Y」は、Viz上の横軸をX軸、縦軸をY軸とみたときに、プロットするデータのY座標を示します。
ここでは、「X」「Y」について、もう少し詳しく説明していきましょう。
Viz上で横軸をX座標に、縦軸をY座標とみたてると、(sin(α),cos(α))は単位円(半径の長さが1である円)上の座標となります。
そして、RANDOM()は、0から1の乱数であり、それぞれ、X座標、Y座標に掛け合わせた(sin(α)×RANDOM(),cos(α)×RANDOM())は、単位円内(単位円上を含む)の座標となります。
商品IDごとに、これらの点を順々にプロットしていくことで、全体として、円の領域内で、ランダムにプロットした点の集まりを形成していきます。
なお、商品IDごとに、0度(ラジアン表記)、1度(ラジアン表記)、2度(ラジアン表記)、・・と角度をずらしてプロットしていきます。そのため、αの部分は、「RADIANS([Index])」となっています。
ワークシートの編集
次の流れでワークシートを編集していきます。
- マークパネルのマークタイプを「円」に変更します。
- 「Product ID」をマークパネルの詳細に入れます。
- 「X」を列シェルフに入れます。
- 列シェルフにある「X」を右クリックして、「次を使用して計算」の「Product ID」を選択します。
- 「Y」を行シェルフに入れます。
- 行シェルフにある「Y」を右クリックして、「次を使用して計算」の「Product ID」を選択します。
- 「Sales」をマークパネルのサイズに入れます。
- 「Product Name」をマークパネルのツールヒントに入れます。
- マークパネルの色を左クリックして、不透明度を75%に指定します。
- マークパネルのツールヒントを左クリックして、「ツールヒントの編集」を開き、以下の通りに入力し、「OK」ボタンを押します。
Product ID: <Product ID>
Product Name: <属性(Product Name)>
Sales: <合計(Sales)>
- 列シェルフにある「X」を右クリックして、「ヘッダーの表示」のチェックを外します。
- 行シェルフにある「Y」を右クリックして、「ヘッダーの表示」のチェックを外します。
- Viz上で右クリックして、「書式設定」を選択します。
- 線の書式設定にて、シートのゼロライン、および、グリッド線を「なし」に設定し、線の書式設定を閉じます。
- マークパネルのサイズを左クリックして、サイズを調整します。
- 「合計(Sales)」凡例カードの「▼」を左クリックして、「タイトルの編集」を選択します。
- 凡例タイトルの編集画面が表示されるので、「Sales」と入力し、「OK」ボタンを押します。
- シートの名前を「商品IDごとの売上を示す円形ジッタープロット」に変更します。
商品IDごとの売上を示す円形ジッタープロットの完成
これで、商品IDごとの売上を示す円形ジッタープロットの完成です。
売上の高い商品、売上の低い商品が視覚的にわかります。
Tableau Publicのリンクを貼っています。
商品IDごとの売上を示す円形ジッタープロット with カテゴリーによる色分け
次は、商品IDごとの売上を示す円形ジッタープロット with カテゴリーによる色分け を紹介します。
先ほど作成した「商品IDごとの売上を示す円形ジッタープロット」を改良したチャートであり、ドットの色をカテゴリーごとに分けたチャートになります。
ワークシートの編集
次の流れでワークシートを編集していきます。
- シート「商品IDごとの売上を示す円形ジッタープロット」を右クリックして、「複製」を選択します。
- シート「商品IDごとの売上を示す円形ジッタープロット (2)」が作成されるので、これから、このシートを編集していきます。
- 「Category」をマークパネルの色に入れます。
- シートの名前を「商品IDごとの売上を示す円形ジッタープロット with カテゴリーによる色分け」に変更します。
商品IDごとの売上を示す円形ジッタープロット with カテゴリーによる色分け の完成
これで、商品IDごとの売上を示す円形ジッタープロット with カテゴリーによる色分け の完成です。
売上の高い商品、売上の低い商品、どの商品がどのカテゴリーに属してるのかが視覚的にわかります。
Tableau Publicのリンクを貼っています。
カテゴリー別 商品IDごとの売上を示す円形ジッタープロット
次は、カテゴリー別 商品IDごとの売上を示す円形ジッタープロットを紹介します。
先ほど作成した「商品IDごとの売上を示す円形ジッタープロット with カテゴリーによる色分け」を改良したチャートであり、カテゴリー別に分割して、円形ジッタープロットを横に並べたチャートになります。
ワークシートの編集
次の流れでワークシートを編集していきます。
- シート「商品IDごとの売上を示す円形ジッタープロット with カテゴリーによる色分け」を右クリックして、「複製」を選択します。
- シート「商品IDごとの売上を示す円形ジッタープロット with カテゴリーによる色分け (2)」が作成されるので、これから、このシートを編集していきます。
- 「Category」を列シェルフにある「X」の左側に入れます。
- Viz上で、「Category」を右クリックして、「列のフィールドラベルの非表示」を選択します。
- Viz上で右クリックして、「書式設定」を選択します。
- 枠線の書式設定にて、行の境界線、および、列の境界線を「なし」に設定します。
- フィールドにて「Category」を選択し、フォントのサイズを調整して、書式設定:Categoryを閉じます。
- Viz上で、Furniture等の文字列がすべて表示されるように、高さを調整します。
- マークパネルのサイズを左クリックして、サイズを調整します。
- シートの名前を「カテゴリー別 商品IDごとの売上を示す円形ジッタープロット」に変更します。
カテゴリー別 商品IDごとの売上を示す円形ジッタープロットの完成
これで、カテゴリー別 商品IDごとの売上を示す円形ジッタープロットの完成です。
カテゴリーごとに、売上の高い商品、売上の低い商品が視覚的にわかります。
また、売上の高い商品の多さ・少なさ等をカテゴリー別に視覚的に比較することができます。
Tableau Publicのリンクを貼っています。
カテゴリー・地域別 商品IDごとの売上を示す
円形カラフルジッタープロット
最後は、カテゴリー・地域別 商品IDごとの売上を示す円形カラフルジッタープロットを紹介します。
先ほど作成した「カテゴリー別 商品IDごとの売上を示す円形ジッタープロット」を、さらに、地域別に縦に分けて、それぞれの円形ジッタープロットの色を変えて、カラフルにしたチャートになります。
ただ、分割のし過ぎにより、形成するデータ量が少なくなり、特定のカテゴリー地域によっては、そのままでは円形ジッタープロットを形成できなくなってしまう問題が発生してしまいます。
この問題を解決するために、パラメーターを用意し、商品IDごとに、0度(ラジアン表記)、1度(ラジアン表記)、2度(ラジアン表記)、・・と角度をずらしてプロットする間隔を変更できるようにし、調整することで、この問題に対応していきます。
パラメーターの作成
以下のパラメーターを作成します。
名前:Parameter
【プロパティ】
データ型:整数
現在の値:3
許容値:すべて
計算フィールドの作成
以下の計算フィールドを作成します。
- 名前:Index
INDEX()-1
「Index」は、0からはじまり、0,1,2,3,・・と続いていく数字の列を示します。
- 名前:X with Parameter
SIN(RADIANS([Index]*[Parameter]))*RANDOM()
「X with Parameter」は、Viz上の横軸をX軸、縦軸をY軸とみたときに、プロットするデータのX座標を示します。
- 名前:Y with Parameter
COS(RADIANS([Index]*[Parameter]))*RANDOM()
「Y with Parameter」は、Viz上の横軸をX軸、縦軸をY軸とみたときに、プロットするデータのY座標を示します。
「商品IDごとの売上を示す円形ジッタープロット」の計算フィールドにて、「X」「Y」について説明していますが、「X」「Y」と比較すると、RADIANS関数内の引数が異なっています。
「X with Parameter」「Y with Parameter」では、「Index」に「Parameter」が掛けられており、パラメーターにより、 0度×パラメーターでの指定値、1度×パラメーターでの指定値、2度×パラメーターでの指定値、・・・となることがわかります。
例えば、パラメーターが「3」の場合には、商品IDごとにプロットする間隔は、0度、3度、6度、・・となります。
ワークシートの編集
次の流れでワークシートを編集していきます。
- マークパネルのマークタイプを「円」に変更します。
- 「Product ID」をマークパネルの詳細に入れます。
- 「X with Parameter」を列シェルフに入れます。
- 列シェルフにある「X with Parameter」を右クリックして、「次を使用して計算」の「Product ID」を選択します。
- 「Y with Parameter」を行シェルフに入れます。
- 行シェルフにある「Y with Parameter」を右クリックして、「次を使用して計算」の「Product ID」を選択します。
- 「Category」を列シェルフにある「X with Parameter」の左側に入れます。
- 「Region」を行シェルフにある「Y with Parameter」の左側に入れます。
- 「Sales」をマークパネルのサイズに入れます。
- 「Product Name」をマークパネルのツールヒントに入れます。
- マークパネルの色を左クリックして、不透明度を75%に指定します。
- マークパネルのツールヒントを左クリックして、「ツールヒントの編集」を開き、以下の通りに入力し、「OK」ボタンを押します。
Category: <Category>
Region: <Region>
Product ID: <Product ID>
Product Name: <属性(Product Name)>
Sales: <合計(Sales)>
- データペイン上でctrlキーを押しながら左クリックすることで、「Category」、および、「Region」の両方を選択し、マークパネルの色に入れます。
- 「Category,Region」凡例カードの「▼」を左クリックし、「色の編集」を選択します。
- 色の編集画面が表示されるので、それぞれ、色を選択し、「OK」ボタンを押します。
- 列シェルフにある「X with Parameter」を右クリックして、「ヘッダーの表示」のチェックを外します。
- 行シェルフにある「Y with Parameter」を右クリックして、「ヘッダーの表示」のチェックを外します。
- Viz上で、「Category」を右クリックして、「列のフィールドラベルの非表示」を選択します。
- Viz上で、「Region」を右クリックして、「行のフィールドラベルの非表示」を選択します。
- Viz上で、「Central」等のRegionの項目を右クリックして、「ラベルの回転」を選択します。
- Viz上で右クリックして、「書式設定」を選択します。
- 線の書式設定にて、シートのゼロライン、および、グリッド線を「なし」に設定します。
- 枠線の書式設定にて、行の境界線、および、列の境界線を「なし」に設定し、枠線の書式設定を閉じます。
- マークパネルのサイズを左クリックして、サイズを調整します。
- 「合計(Sales)」凡例カードの「▼」を左クリックして、「タイトルの編集」を選択します。
- 凡例タイトルの編集画面が表示されるので、「Sales」と入力し、「OK」ボタンを押します。
- データペインにて、パラメーターの「Parameter」を右クリックして、「パラメーターの表示」を選択します。
- シートの名前を「カテゴリー・地域別 商品IDごとの売上を示す円形カラフルジッタープロット」に変更します。
カテゴリー・地域別 商品IDごとの売上を示す円形カラフルジッタープロットの完成
これで、カテゴリー・地域別 商品IDごとの売上を示す円形カラフルジッタープロットの完成です。
カテゴリー・地域ごとに、売上の高い商品、売上の低い商品が視覚的にわかるととともに、売上の高い商品の多さ・少なさ等をカテゴリー・地域別に視覚的に比較することができます。
また、見た目がカラフルになり、より目立つチャートになっていることがわかります。
Tableau Publicのリンクを貼っています。